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高森明勅
2019.9.26 06:00皇室

大極殿と大嘗祭

大嘗宮が造営された「朝堂院」は朝廷の中心的施設。
その朝堂院の正庁は「大極殿(だいごくでん)」だった。
高い基壇を築き、朱塗りの柱に、瓦葺(かわらぶき)きの屋根。
豪華・壮大で堅牢な建物だ。
まさに朝廷の威信を示すに相応しい。

即位礼は、この大極殿に「高御座(たかみくら)」を据えて行うのが、
公式の形だった。
ところが、大嘗宮はどうか。
基壇を築くどころか、礎石すら置かない掘っ立て柱。
木材は皮も削らない黒木。
屋根は最も原始的な萱(かや)葺き。
まさに対照的。
そんな建物を、大極殿の少し前に、わざわざ造営して大嘗祭を行った。
世俗的な威厳を表示する即位礼と、最高の清浄さが求められる大嘗祭。
2つの行事の、対極的なまでの性格の違いを、正確に反映した事実だろう。

皇位の継承に伴い、この両方の儀式が共に欠かせないと考えられてきた経緯も、
「天皇」の本質を探る大切な手掛かりになるはずだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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